過去問を解く意味。過去問ばっかりやってても時間の無駄という話。
こんにちは。ジャケットです。先日、知り合いの家庭教師から、『偏差値が足りていない生徒なのに「過去問だけやってくれ」と言われて困ってます』と言う嘆きの声を聞きました。う~ん、そういう要望を出されることもあるのかと気の毒に思うと同時に、今までそういうご要望を自分に出さないでいただいた親御様たちに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
はっきり言ってしまいますが、過去問ばっかりやってて受かるわけがないです(偏差値が足りているか、少し足りないくらいなら話は別)。
過去問を解く必要はあるか?
みなさん、過去問って何のために解くと思いますか?
過去問を解く理由はただ一つ。その学校の問題傾向が自分にかみ合うかどうか、問題量や時間配分が自分に最適かを知るためです。それ以外に過去問を解く理由はありません。過去問が5年分とか多い学校だと10年分とかありますが、あれは出版社の利益のためです。そもそも5年も10年も経てば問題作っている人も変わっているケースが多いですし、社会や理科、国語でもトレンドが変わっていますから、あまり役に立ちません。過去問は2回か3回やって手が合うかどうかわかればそれで充分です。そういった意味では解く必要は間違いなくあります。
そもそも過去問を解くことは志望校対策には直結しない
過去問を解いているだけで志望校対策になるというのはさすがに中学受験を甘く考えすぎです。各学校、進学実績をのばそうと必死ですから過去問ばっかりやって対策になるようなヌルい問題は作っていません。過去問では、近年の傾向がある程度把握できる程度で、それすら問題傾向が変わる年(どの学校にも起こり得る)と重なってしまったら全く意味がなくなります。過去問なんてその程度の信頼度です。過信しないようにしましょう。
過去問ばっかり10年分やってて受かりましたという話
なかにはそういうお子様もいます。偏差値が少し足りない生徒の場合は問題さえうまくかみ合えば、多少の偏差値差は問題との相性の良さで埋まります。ですから、そういった面で過去問をたくさん解いていたのがはまったのでしょう。でも、じつはこういうお子様は過去問10年分もやらなくてもおそらく合格しています。なぜなら2年分しか問題をやらなくても、10年分問題解いても相性の良さは変わらないからです。
しかし、偏差値がハッキリと足りない生徒の場合は過去問ばかりやっていると、まずいい結果は出ません。もしかしたら100人に2~3人くらいは良い結果がでるお子様もいるかもしれませんが、良くてそんなものです。過去問ばっかりやってれば対策になるほど、みなさんががんばっている中学受験の世界は甘くないです。
こういったおいしい話に食いついてしまうのは、だいたい周りの情報を集めすぎ、惑わされすぎという共通点があります。とくにネットの世界では外に発信する少数の人の声が大きく、大半の人は外に意見を発信していません。そのため、ごく一部の声の大きい発信者の声を完璧な成功事例のようにとらえてしまいがちです。同じように過去問を数多く解いたにもかかわらず、失敗した人たちも存在して、そのほとんどが外に声を発信していないことを忘れてはいけません。
もちろん、私は過去問を解く事自体は否定していませんし、必要な事だと考えています。実際、私も過去問は指導に多く取り入れていますし。しかし、過去問はただやればいいという物でもありません。過去問に取り掛かるべきタイミングも生徒の性格に応じて考えなければいけません。受験を甘く見ている子には現実を知らせるために早めに解かせて喝を入れてみたり、自信なさげな子には似た問題傾向で少し簡単な問題(学校レベルは上でも簡単な年度の問題とか)を解かせて自信をつけさせたり、色々な使い方をしなければなりません。
そして、明らかに偏差値が足りないお子様の場合は過去問やってる時間があるなら、どの科目が一番点数の伸びが期待できるかを考えて、その科目を重点的に勉強するように指示をします。偏差値の足りないお子様が、肝心な基礎学力を無視して過去問を重点的にやってて、問題傾向変わったら全滅してしまいますから。それは絶対避けなければなりません。
中学受験の基本は当たり前ですが基礎学力がどれだけ固まっているかです。過去問はその前提の上で、問題との相性をはかるべきものであって、過去問そのものをやってるだけで対策になるほど中学受験は甘くないという事です。
本日も記事をお読みいただいてありがとうございました。