中学受験の国語ですが本をたくさん読んでも読解力は身につきませんという話
こんにちは。個人契約で家庭教師をしておりますジャケット先生です。今回は中学受験の国語ですが本をたくさん読んでも読解力は身につきませんという話をしていこうと思います。
中学受験の間違った常識として、「本を読まない子は点数が上がらない」とよく言われています。国語が苦手な生徒のご家庭にお伺いすると結構な割合で保護者の方から、「うちの子はぜんぜん本を読まないからダメなんですよね」と言われます。
でもこれ、大きな誤解です。なぜ、誤解なのかについて語るのが今回のテーマです。中学受験の国語で点数がとれるかどうかに、自宅での読書はほとんど関係ありません。
読書が好きでも国語が苦手な子
ご家族や知り合い、学校の生徒を見渡してみると、少なからず読書は好きなのに、いまいち国語が得意ではない子がいるはずです。そのことがまさに読書量が中学受験の国語の偏差値と比例しない証左です。
例えまわりに該当する子がいなくても、これからお話しする事で読書量と国語の偏差値は一致しない事がお分かりいただけると思います。
自宅での読書と中学受験の国語はまったく別物
まず、学校の授業や自宅での読書は中学受験の試験本番で点数を取ることを目的にした読書ではありません。学校の授業中の読書は教養を身に付けるための読書、文章に親しむための読書ですし、自宅での読書は自分が興味を持った文章を読むための読書です(興味がない本を読ませようとしても、多くのお子様は読まないか、嫌々ながら「とりあえず」目を通す程度にしか読みません)。学校の授業ではわずか数ページの文でさえも、数日かけてじっくり読みますし、自宅での読書であれば、自分のペースで気の向くまま読みたいだけ読むことが出来ます。
一方、中学受験の国語は、文章に親しむための問題でもなければ、興味を持つような文章ばかりが出題されるわけではありません。むしろ、大半は興味など持てないような文章(論説文や説明文の読解問題はとくに)であるにもかかわらず、緻密に、正確に、かつ制限時間内にスピーディーに読まなければなりません。
つまり、求められる要素がまったく違うのです。
中学受験の国語とは
中学受験の国語とは登場人物の心情や、筆者の主張をいかに正確に確実に、読み取るかという精読の要素と制限時間内に解答するという速読の要素が求められます。いっぽう授業の国語は精読はするものの速読の要素はなく、自宅の読書に至っては、心の赴くがままに読んで読みっぱなしというのがほとんどです。
要するに、中学受験の国語に求められる要素を何も満たしていない、自宅での読書は中学受験における国語の偏差値を上げるうえでほとんど効果がないという事です。授業の国語も精読はするとは言え、実際の受験問題では考えられないようなスローな精読なので、これもほとんど訓練になりません。
上記の理由から、中学受験の国語で偏差値を上げるには、自宅での読書はほとんど関係ありません。現時点では、お子様が読書をしないからといって国語の点数が上がらないというわけではなく、点数を上げるような勉強が出来ていないというだけの事です。
いまから読書をする習慣をつけるよりも、受験国語で点数をとれるような勉強をしたほうが効果は上がります。ですから、「読書をしないからダメ」とあきらめるのではなく、しっかり点数が取れるように受験用の国語の勉強をしていきましょう。
自宅での読書にはまったく意味がないのか?
ちなみに、国語の偏差値を上げるうえで、自宅での読書はほとんど効果がないと言いましたが、まったく役に立たないというわけではありません。役に立つ点としては、自宅で読書をすることで、長文への慣れが多少は見込めるといった点が挙げられます。集中力がなく、試験問題の国語を最後まで読みきる事が出来ない生徒の場合は、いくらかの効果は期待できるかもしれません。
しかし、多くの効果が望めるわけではありませんから、中学受験合格という第一目標を考えるのであれば、読書の時間を他教科の勉強に充てたほうがよほど効率的だと思います。
ちなみに私は自分自身が読書家ですので、読書自体は否定していません。合格してゆとりが出来たらどんどん読書して考え方や知識の幅を広げてほしいと思っています。
今回は以上です。「中学受験の国語ですが本をたくさん読んでも読解力は身につきません」という話でした。参考になれば幸いです。